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ログ倉庫に使っています。ジャンルはケモノ過多かつ、同人要素強めです。お気を付けを。
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叶わない願い1

『叶わない願い』





男は、灼眼の瞳を持つ隻眼の狼は、目の前の簡素なベッドの上で両手足がっちりと拘束され、意識を失っている狐に目を向けた。
ベッドの四隅から狐に向かって伸びているきつい紐は、ついさきほど男が自身の手でギチギチと縛りつけたものだ。
狐は大の字のように手足が伸び、ある程度紐には緩みを与えているが意識があってもきっと動けないだろう。
部屋の中は薄暗く、余分なものがほとんど置かれていない。その中で男の灼眼だけが鈍く光を放っている。
男は低い声でつぶやいた。

「…手間かけさせやがって…」





いつも通りのドッグファイトだった。
負けた、という事以外は。
そう、負けたのだ。
狐は…狼とのドッグファイトの末、空から撃ち落された。
コントロールを失った瞬間、全てがゆっくりに見えた。自分が負ける事など、目の前の好敵手に本気で撃ち落される事があるなど、考えたこともなかった。
意識が飛ぶ前に見た光景は、白光、轟音、自分の叫び声、相手の顔…。そうして全てを意識から排除した。




狼はタイマンでの勝負で狐を撃ち落したとき、狂喜した。
荒廃した大地の上に打ち捨てられたようにしている狐の機体に近寄り、狐の生存を確認したところでさらに体が高揚した。
途中で意識を失ったせいで機体内から脱出できなかったのか…軽く傷を負ってはいるが生きている。呼吸をして、心臓が動いている。
男は確認が済むと狐を己の肩に抱えあげ、その場から去ろうと背を向けた。
と、そこで狐の壊れかけの機体の無線から声が聞こえた。
「フォックス!どこにいるの!?お願いよ、答えて…!!」
男の動きが止まった。
肩越しにそのノイズまじりの女の声を聞く。
ゆっくりと肩透かしで振り返った男の瞳は恐ろしいほどの鋭さだった。振り向いたときと同じく、ゆっくりと片手で腰のホルダーからマグナムを取り出す。
ッガォオ――――ォンンッ…
耳を噤ざむような音と共に無線機はマグナムの弾丸を受け、粉々に破裂した。





そうして狼は狐を自分のコロニー内に連れて帰り、今の状態に至る。
男は腕を組み、薄暗い部屋の中でじっくりといまだ意識を取り戻さない狐を少し離れた所で眺める。
なぜ自分はこいつをこんな状態にしているのか。

…決まってる。俺様の物にするためだ。こんなチャンスめったに来るものではない。

――男は。この狼は。目の前の狐を愛している。
だが雄同士。さらにはライバルである敵チーム。
こんな己の感情、おかしな物だと自分でも分かっている。
だが、さっき目の前で撃ち落し…意識を失っている狐を見た瞬間、己の中の何かの感情がふつりと途絶えた。
こいつは…同じチーム内の女と恋仲らしい。

そんな事、俺のしったこっちゃない。

俺はずっと昔からこいつの事を考えてきた。
途中からポッとでてきたような女狐に奪われるなど、許せるものか。
さいわいにしてこいつはまだあの女を抱いた事がないらしい。俺様のチームメンバーのパンサーからそのことを聞いた。
それでいい。
もしあの女を抱いていたりでもしたら、俺はあの女も目の前のこいつもどっちも殺しちまう。噴出す感情が耐え切れずに。
そんな自分を、心のどこかで浅ましいと罵る自分がいる。

――それがどうした。

自分の欲望のために生きて何が悪い。生き物なんてみんな自分の欲望に沿って生きるものではないか。
だから。
無理矢理にでも俺の物にしてしまおう。逃げられないように縛って閉じ込めて。とことん犯しぬいて、俺無しでは生きられない体にして。
そうすればいつかおとずれるだろう。
こいつの目に、俺しか映らなくなる日が。





フォックスはふと、目を開けた。
灰色がかった薄暗い天井が見える。自分の右側には大きな窓があり、宇宙空間が見えている。ここはどこだろう。
自分は確かウルフに撃ち落されたはず…。なぜこんなへんぴな場所にいる?
ぼんやりとした思考でフォックスは体を起こした。起こそうとしたのだが。
「…?」
ほんの少し体が動いただけでそれで動きが止まる。自由が利く顔を横に向けるとベッドの端から伸びた赤い紐で手首がきつく結ばれていた。
反対の手首も同じ状態だ。足は上手く見えないが同じように縛られているようだった。
訳が分からない。実にその言葉が正しい。何が起こっているのだろう。
訳が分からなくて混乱しているフォックスの耳に、聞きなれた低い声が聞こえた。
「目ぇ覚めたか」
部屋の左隅から聞こえたその声に、フォックスは首を上手く起こして声の主を凝視する。
薄暗い部屋の隅に、さらに影を落としたように立つその影。シルエットだけで誰なのかが分かった。
「…ウルフ…」
影の中から名前を呼ばれた男が姿を現した。ゆらりと近付いてくる。
そのゆっくりとした足取りにフォックスは何らかの危機的感覚を感じ取り、必死になって手首の紐を引きちぎろうとした。
だがそんなことで太い紐が切れるわけでもなく、逆にきつく食い込んでくる。
仰向けで両手足無防備に開いて。この状況はやばい。
もしウルフに鳩尾をおもいっきり拳で殴られてもかばう事すらできやしない。反撃のために足で蹴飛ばす事もできない。
このまま近付いてきておもいっきり横っ腹を蹴飛ばされてもなすすべもなく自分はベッドの上で弾むだけだろう。
と、フォックスは思考した。自分は今からウルフのサンドバッグになるのだと。
そんな退廃的な思考をしている間にウルフはもう枕元まで来ていた。
じっ…と顔を見つめてくる。
その鋭い目におびえて、フォックスはきつく目を瞑った。さぁ、くるぞ。もう一秒後にはあの大きな拳を鳩尾に埋められているかもしれない。
ぐっと無意識のうちに腹筋に力を入れて、来るであろう暴力に構える。
だが拳は腹に埋められる事はなかった。
変わりにベッドの淵が軽くぎし…と音をたて、自分の上に男が乗っかる感覚がした。
フォックスが薄目を開けて目の前を確認すると、ウルフが自分の上でマウンテンポジションを取っている。
そうか。腹を殴るのではなく、マウンテンポジションのまま顔を殴打する気なのかとフォックスは歯を食い縛った。
だが、やはり男が顔を殴打してくる事はなかった。
代わりにズボンのベルトをカチャリとはずされる。
「――!?」
何事かとフォックスは顔をあげる。それと同時にはずされたベルトが宙を舞って壁にぶつかり落ちた。
「な、何しているんだウルフ」
訳が分からずフォックスはウルフにたずねた。
「テメェを犯す準備をしてんだよ」
さも当たり前だろうとでも言うように男は答えた。
オカス…おかす…………犯す…?
「今、犯す、と言ったのか?」
“犯す”…その言葉は“強姦”を現している。
震える声でフォックスはたずねた。
「ああ」
つっけんどんに男は返答する。
「大人しくしてりゃあ、直ぐに終わる」
低い恫喝。有無を言わせない、凶暴な脅し。
いつも空で相対するときには決して見せた事も聞かせた事もないような声色。

なぜ。どうして。ウルフ。なぜ。
犯すという事は、セックスを。俺は雄だぞ。ウルフも雄で。ウルフの言う行為は男女で行う物で。なぜ。どうして。ウルフ。…悶絶する頭の中でぐるぐると言葉が回る。

説明を一切されない拘束と行為は激しい恐怖をフォックスに与えた。
混乱しているフォックスをよそに、今度はスカーフをはずし、上着をはだけさせる。前を開けられた事で寒さと恐怖にぶるりと身震いした。
「おいウルフ、ちょっとおかしくないか?犯すという事はその、あの、セックスの事を言っているんだろう?おかしいって。ウルフも俺も雄だぞ」
黙々と行為を始めようとしている男に恐怖し、冷や汗をかきながらフォックスはべらべらと言葉を並べる。しゃべっていないと恐怖が波のように押し寄せてきそうだった。
「…黙ってろ」
ぼそりと男がつぶやくのが聞こえ、おもむろに取られたスカーフで口を拘束される。
「っ!?」
(まさか、まさかウルフ本気で…!?)

そんな馬鹿な。
ウルフは…俺の好敵手で、男らしいやつで、悪党だが度量も広い男で。
こんな強姦、する訳がない。
そもそも俺みたいな男なんかより、いくらでもすばらしい女性を手に入れられるはずだ。
なのになんで、ウルフ、俺を。
 
恐怖で体を強張らせるフォックスのズボンを下へずらし、内股をゆっくりと撫でてくる。
まるで舌が這うみたいなねっとりとした動きに、ぶるりと腰が震えた。
「…お前がどう思っていようがしったこっちゃないが、俺は俺様の意思でテメェを犯す。…それだけだ」
お前を俺好みの体に作り変えてやるよ…とつけたし、ウルフはフォックスの下着の中に手を差し入れた。
冗談ではない、そんなことされてたまるものか。そう思ったところでウルフの大きな手がフォックス自身に触れた。
「!!」
初めて他人に触られた感覚に、ぎょっとさらに体を強張らせる。
最初はつつく程度だった手の動きが、じょじょに上下に動き始めた。
「…っ…ゥ…ッ」
感じたいわけじゃない。けれど、そういった行為に対する反応はDNAに刻み込まれているのだろうか。
勝手にペニスに対する刺激を愛撫と判断した体は、徐々に熱を孕み、その箇所を熱く堅くし始めた。
「…っ…ぐッ…ぅぅ…ッ」
「先がぬるぬるして来たぜ?…声が聞けねぇのが残念だな、なぁフォックス…?」
くもぐったフォックスの声を聞きながらウルフはおもしろそうに敏感な先端をぐいっと擦ってきた。少し乱暴に扱われ、その途端に電気のような感覚が全身を貫いて、びくんと腰を跳ねさせる。
(ぃやだ…っ止めてくれ…ッ)
ひくひくと小刻みに震えるフォックスを見て、ウルフはかすかに笑う。自分の下で、こいつが、フォックスが、こんな事を俺にされているのかと思うだけで、背筋にぞくぞくと震えがきた。
「…ぅ…ふぅ…ふッ、う…ッ?」
急にウルフの手が止まった。止めてくれる気になったのだろうかと一瞬フォックスは安堵する。が、ウルフの次の行動に息を呑んだ。
ウルフが荒々しく自分のベルトをはずし始めたのだ。パチン、パチン、カチャと音が聞こえ、おびえて顔をあげるフォックスの目にそれが映る。
ぼろん、と飛び出た巨大で赤黒い性器に、フォックスの表情が強張った。
男は見開いたフォックスの目を心地よさそうに受け止めて、フォックスの上に乗り、股間を摺り寄せる。
「…ッ!?うウッ…」
熱くて堅い感触がフォックスのペニスに重ねられる。
ぶるりと気持ち悪さに震えたところに、ぐりゅっと激しく性器を太い焼き杭で擦るように摩擦され、咽喉が悲鳴の形に痙攣した。
「~~~…ッ」
目の前が一瞬スパークした。
(…何だ…今のは…ッ?)
戸惑いに回答を出す前に、再び下からの突き抜ける快楽に、顎を仰け反らした。
「…っまずは…テメェにも…その気に、…なってもらうぜッ」
「…ふッ…ッゥっ……うぐ…ッ」
衝熱を逃がす事ができる重要な器官である口を塞がれていて、必要以上に与えられる肉の感触を敏感に受け止めてしまう。
ウルフの息切れと勃起した二つの性器がこすれあう音のたびに、フォックスの体は大きく仰け反った。
「ッくぅっぅう…ッ」
一際強く捏ね挙げられた瞬間、フォックスのまなじりから透明な液体が滑り落ちる。
「…ハッ……気持ちよすぎて泣いてんのか?………………テメェもあの女にこうゆう風にしてみたかったんだろ…?」
滲む視界のなかでフォックスはそのウルフの声を聞いた。

何でこの場面でクリスタルの事を出す?
何でクリスタルを。

目を見開いて見つめられたウルフは失言だったと、ゆっくりと口元を押さえる。
そして今の言葉を取り消そうとするかのようにさっきよりも激しくフォックスに腰を打ち当て擦りあげた。
さらに激しく捏ねあわされ、今までよりもまして腰を使い始めたウルフの肉棒の感覚に、ぎゅうっとパンパンに膨れ上がったペニスがちぢこまるような、予兆とでも言うべき感覚に襲われる。
切羽詰ったそれにフォックスは必死に首を打ち振る。
「…っふッううぅンンッ」
「何だ急にじたばたし始めて…ん?そうか……おら、イっちまいなッ」
腹につきそうなほど反り返ったものを握られ、乱暴に上下に扱かれる。
ウルフの手の動きに合わせてびちゃねちゃとどちらの物とも知れない欲汁が粘液状の音を立てた。
「ぅうッ…ぅ…ぐぅ…ッ」
必死で腹に力をいれ耐えていたけれど、ぎゅうっと双玉を擦り合わせるように掴みあげられた瞬間、
「ッ?!ぅッンッ…ゥゥン~~~…ッ!」
それまで耐えていたもの全てを、仰け反りながらどっと吐き出してしまった。
「…~ッふぅッ…はっ…ふぅ…ぅ……っ」
フォックスの射精を促すようにウルフの手がゆっくりとフォックスのものを扱く。最後の一滴まで出させようとするかのように手で擦りあげられた。
初めて他人によって、しかも男のウルフに与えられた絶頂に悶絶する。
「くく…たっぷり出たじゃねぇか…」
ウルフの咽喉奥で笑う声が聞こえ、出したばかりの精液を腹の上に指で塗り伸ばされる。
射精直後で体が弛緩し、ぐったりとベッドに体を沈めているフォックスを見ながら、ウルフはフォックスを拘束していた赤い紐を両足だけはずした。
だが両足が開放されてもフォックスにはたいした抵抗はできなかった。体を動かすのがひどくおっくうで、脳が信号を出しても体がそれを受け取ってくれないのだ。
ついでにウルフはフォックスの口につけていたスカーフの拘束も取り払う。
だが開放された口が罵る事に使われる事はなかった。やっと呼吸が楽になり、小さく喘ぎにも似た吐息をついただけだった。
すると今度はウルフの指がフォックスのへそのあたりに濡れ溜まっていた精液に伸ばされた。
それを指に絡めると指になじませるようにぐちゃぐちゃと捏ねる。まるでフォックスに見せ付けているかのようなその指の動きに、フォックスは顔を思わず横へそらした。
と、ウルフの片手がフォックスの片足を折りたたむようにし、指が下の穴にあてられた。それにフォックスはびくりと体を強張らせる。
女が相手ならば膣に射れればいい。
なら、男が相手の場合は…女の膣に代わる場所に射れるしかない。
その考えが浮かんだ瞬間、フォックスの顔からはサーっと血の気が引いた。

尻の穴にだって? 入るわけがないじゃないか。

「ま、待て、ウルフ――」
言い終わるか言い終わらないかの所でウルフはフォックスの精液に濡れた人差し指をフォックスの中に捻じ込んだ。
「ッ――っ!!ィっ…ッ」
無理矢理入り込んできた異物感にフォックスは眉と口元を歪める。
指に絡めた精液のおかげなのかぬるると簡単に(少々強引にだが)フォックスの中に指が一本おさまった。
「…っぃ…痛っ…ッ」
ぐにぐにと中で指を曲げたり出し入れされたりする。そのたびにフォックスは辛さを耐えるような呻きをあげた。
「いいとこに当たったらうなずいてみろ」
ウルフがそう言う。
女じゃあるまいし、いいところなんかあるはずがない。フォックスは苦痛感を必死になって脳内で誤魔化し、目をつぶり続けた。
「…ぐ…ぁ……ぅぅ…ッ」
指が二本に増やされ、重なる圧迫感にハッハッと短く浅く呼吸を繰り返す。
「も、もうイヤダ…!止めてくれウルフ…ッ」
涙混じりにそう懇願するが、ウルフはまったく聞く耳を持たない。
と、ウルフの体がすっと横に動き、ベッドの横にある小さな棚に手が伸びる。がたんと音がしてウルフが取り出したものは何かの液体が入った小瓶だった。
その小瓶を目を見開いて見つめるフォックスに笑って言う。
「ただのローションだ」
女と違って濡れねぇからな。
そう言ったウルフはローションをフォックスの性器に垂らす。垂れたローションはそのまま穴までたどり着き、そしてまたもやウルフは指を二本突っ込んできた。
「イヤダって…言ってるだろっ…ッ」
何とか強めの口調で抗議するが、ローションで滑りがよくなった尻の穴の中をぐにぃと二本指で広げられるたびに息を呑み、言葉を失う。
数分かけて広げられたところでウルフはつぶやきながら指を抜いた。
「…てめぇのいい所は結局わからずじまいだったが、これぐらいほぐれりゃもういいだろ」
その言葉と共に大きな亀頭が入り口に押し当てられた。押し付ける勢いがありすぎたのか軽く中にめり込んでくる。
強い圧迫感に、ひっと息を呑んだフォックスは必死になって懇願した。
「お、お願いだゥルフっ…!!それだけは止めてくれ…ッ!」
「あぁ…?何言ってんだ。止めるわけねぇだろ…!」
ウルフの興奮したような息の根が聞こえる。
両足を苦しくなるほど押し曲げられる。必死に躍起になって両手の拘束をはずそうとするが、一向に外れる気配はない。
ウルフが自分の逸物にも押し付けたままローションを垂らし塗り伸ばすのが眼に入った。
そうして、ずにゅ、と。
ウルフの先端がじりじりと押し広げるように捩じ込まれてきた。
「か、はッ…!……ひぅぐぅ…ぁぁ…ッ」
呼吸が止まるかと思えるほど長い挿入。ぴっちりと中の皴一本一本まで伸ばされていくかと思えるほど太いウルフの肉棒が。
「…ッぬ、っけ……っ抜いて…ッくれ…ッッ!」
苦痛に涙と涎を流しながら懇願する。そのフォックスの言葉に、ウルフは軽く口角を上げ、さらに奥へと己を捩じ込んだ。
これでもかというほどローションを使ったせいかぬちゅちゅと勢いづいて入り込む。
完全にフォックスの中に己が納まると、ウルフは満足そうにフォックスの腹を撫でた。その下にいるであろう自分を確認するかのように。
たかが数十センチ相手の領土を侵すこの行為が、どんな書類上で交わされた結びつきよりも喜びで満たされる。
「ひ、ィ…ッぃっ…痛い…っ痛い…ッ」
フォックスはボタボタと涙を流してウルフを見た。
その涙をウルフは舌で舐めとる。その行為にフォックスは一瞬ぽかんとウルフを見上げた。何だ今の恋人にでもするような仕草は。
ウルフはフォックスが一瞬、ぽかんとした事で体の力を抜いた事がわかり、腰をなんの予告も無しに勝手に前後に動かし始める。
「ッヒっ…ぃ…ぁアアッっ!」
ローションの効果も相まってか、ぬち、ぬち、ぬちと肉同士が粘着質な音をたてるのが聞こえた。
いま、目の前のこいつを犯していて。こんな涙に濡れさせていて。俺の下で泣き叫び喘いでいて。
そう思うだけで堪らなくなり、しばらく揺さぶったところで軽くフォックスの中にウルフは精を注ぎ込んでいた。
「ぅ…ぐッ…っ」
「!?イヤダっぅぁ…ァあっ…ッあ!」
たっぷりと時間をかけてフォックスの中に射しきると、まるで棒で壷の中身を突くみたいにくちゃぐちゃと小刻みに腰を動かして精液を注いだ坑道を捏ねた。
それから、ぬるる、と精液に濡れたペニスを引きずり出す。
「…っゥァぁ…ッ」
排泄物が出て行くようなわずかな不快感と多くの快感がそこに生まれて思わず声を漏らした。そしてまた深く突きこまれる。
ウルフは息も荒く笑いながら言った。
「…っさすがにこれだけ…ぐちゃぐちゃになって、りゃ……っ痛くはねぇだ、ろ…っ」
そう言ってさらに激しく揺さぶってくる。腰をつかまれ抵抗のすべがないフォックスは喘ぎながら涙を流した。
耳に噛み付いてくるウルフの口が、フォックスの耳元でつぶやいた。
「あんな女狐に…渡してたまるか…」
「…っぅ…!ぅっああ…ッ?」

今なんと言ったのか。

あまりにも小さな呟きはよく聞こえず、フォックスは恥辱に濡れた目でウルフを見た。
目が。すっと合う。そしてそのままウルフが口を重ねキスをしてくる。フォックスはそれを噛み付くでもなくありのままに受け止めてしまっていた。
「っア、ぐ…ッィっあ…っ!」
揺さぶりながらウルフは今日一番優しい声でフォックスに言う。
「…俺の名前…呼んでみろ」
「…ッ…っあ…?」
「一度でいい」
涙でぐしゃぐしゃになって見たウルフの顔はなんだかよく分からない表情をしていた。
その奇妙な表情に、フォックスの口は思わず動いていた。
「ぁ…………………ル……ウルフ…」
名前を呼んだ瞬間ウルフはふっと一瞬だけ笑い、言った。
「…イクぜ…っ」
「ッえ?――ぁっぁッつぃ…ひッはぁぁ…ッ!!!」
言うと共に一際強く突かれ、最奥でビクンとウルフが跳ね、濃厚な欲液を吐露される。
もっと奥まで注ぎ込みたいとでも言うかのようにウルフはピッタリと腰を密着させ、フォックスを犯したのだった。



************



事が済むと、ウルフはゆっくりとフォックスから体を離した。
それと同時にフォックスの秘部からは、とろけるようなウルフの精液が糸を引いてこぼれおちる。
手は縛られたまま。流した涙も乾き切らないフォックスは、放心したように天井に目を向けている。
そんな状態のフォックスを見て、ウルフは胸が熱くなるほど満心を得た。

きっと、憎まれるのだろう。
でももうそれでもかまうものか。

ゆっくりと身を寄せ、フォックスの顔の横に手をつく。ベッドがウルフが動いた重みでぎしりと鈍い音を立てた。
涙を流したまま放心しているフォックスにそっと唇を寄せ、ゆっくりと重ねた。
そのまま恋人にでもするみたいに唇を吸う。
すると、それまで黙っていたフォックスが、泣き叫び過ぎたのか枯れた声でぽつりとつぶやいた。
「………ルフは……こんな、こと…………しな…」
目はいまだ涙を流し天井を見たまま、否定の言葉をつぶやく。
それは先ほどまでの強姦に対してだろうか。
「そうだな」
ウルフも同じようにつぶやいた。
「以前までの俺だったら、そうだったかもな…」
そう言いスッとベッドの上から体をおろす。
フォックスの腕の紐に手をかけほどき取る。右手左手と紐を外されたフォックスは無意識のうちにウルフの事を見た。
「…もう寝ろ」
そうとだけつぶやくとウルフは部屋にロックをかけ、フォックスを一人残し部屋を出ていく。
部屋の中で、フォックスの泣き声が響き始めた。

きらいじゃなかった。ライバルとして何かしらの友情のようなものすら感じていたのに。
ウルフはそうではなかったのか。自分だけだったのか。

ぐるぐると同じ問答を頭の中で繰り返しながらフォックスは泣いた。
信じられるライバルだと思っていたのに。





深夜。
フォックスは暗闇の中、目を開けた。
宇宙のかすかな光と、ルームランプのぼんやりとした光だけが自分の身体を照らす。
いつのまにか自分の残った服は脱がされ、白いシャツが一枚だけ着せられている。ウルフが着せたのだろうか。
自分の頬は、流した涙でパリパリに乾いていた。
ベッドの上はいまだ先ほど行われたウルフとの行為の跡が生々しく残っており、自分の体中からナニかが乾いてパリパリと剥がれおちる。
逃げなくてはと思いつつ、フォックスはぼんやりとそれを眺めながら、自身の腹を押さえた。
「おなか…いた…」
暴れた事で体中が痛みを訴えているのはもちろんの事、腹の痛みが異常だ。
ゴロゴロと鈍痛が頭へと這い上がってくる。
助けを求めるなど、と思い、じっとベッドの上で体を丸め耐えていたが、我慢できそうにない。
フォックスはよろよろとベッドの上から這うように降りた。
先ほどウルフが出て行った出入り口の横に、壁に備え付けてあるビジョン式の電話らしきものがあるのが目に入った。
番号を押すはずのボタンが見当たらない。
しかたなくフォックスはそのまま受話器を取った。どこか、せめて下界にでも通じてくれる事を祈りながら。
数度の呼び出し音の後、低い男の声が耳元で響いた。

「なんだ」

間違いない。ビジョンに映し出されている顔はウルフだった。
びくりとフォックスは身体をこわばらせる。この電話はウルフにしか通じないのだと、フォックスは一瞬にして悟った。数秒黙りこくった後、ゆっくりと口を開いた。
「……腹が…痛いんだ」
画面内のウルフは、ああなるほど、というような顔をし、立ち上がり、画面の中から姿を消す。
「え?ちょっと、ウルフ」
受話器へ向かって声をかけ続けてもそれきり受話器はうんともすんとも言わなくなった。
と同時に、部屋のドアが開き、黒い私服を着たウルフが部屋の中に姿を現した。
「来い」
短くそう言うと、ウルフは部屋の外にあったトイレへフォックスの手を引き連れて行く。そしてそのままフォックスをトイレの中へ押し込んだ。
「な…」
「すんだら出て来い」
すんだら、とはトイレをすませろと言う意味だろうか。
しばらくフォックスは服の端をぎゅっと握ったまま、便座の中を見つめ続ける。

たしかに腹は痛い。トイレはしたい。でもなんでこんな…

フォックスは涙が滲みそうになるのをこらえ、そそくさとトイレをすませて出てきた。
トイレの前ではウルフが腕を組み、仁王立ちして待っていた。
「も、いいよ…だいぶ痛くなくなったから……」
なにより自分は今シャツ一枚しか着ていないのだ。誰かにこの現場を見られたらと思うと、一刻も早く部屋に戻りたかった。
ウルフはそうかと静かに短く言葉を発すると、またフォックスの手を引き、先ほどの部屋の中にフォックスを放り込んだ。
そして自分までも部屋の中に入ってくる。扉のロックをかけるピーという音が静かな部屋の中に響き渡った。
「ウルフ!もう痛くないからいいって――」
あせってフォックスが口を開くと、ウルフは低い声で短く伝えてきた。
風呂に入れてやると。
なにを、と口を開きかけた瞬間、ウルフが強くフォックスを抱え上げた。
「やめっ」
「うるせえ」
フォックスの抵抗の言葉を一蹴に伏せると、部屋の隅にある扉までズカズカと歩いていき、その扉を片手で開けた。
扉の中は備え付けの風呂だった。ご丁寧に二人ぐらいなら入れそうな大きさの。
サー…とフォックスの血の気が引く。

まさかまたするのか?

ウルフはフォックスのボタンを撥ね飛ばす勢いでシャツを脱がせながら、口を開く。
「…中にたっぷり出したからな。それで腹を壊したんだろうよ。洗ってやる」
それを聞いたフォックスは一気に顔を赤くしながら固まる。
たしかにウルフに犯された時、中へ何度も出された。それで腹が痛くなると言うのか。
――逃げ出したい。切実に。
赤くなるやら青くなるやらで忙しいフォックスの顔を見て、ウルフは悪い笑みを浮かべて言った。
「これから何度でも同じように中に出してやるんだ。慣れろ」
冗談ではない。そんな事。
「ウ、ウルフ…さっき俺はトイレに行ったんだ、だから、その、いいよ洗わなくても」
自分で風呂なら入れると言うとウルフはフォックスの耳元へ口を寄せてきてささやいた。
「まだ中にこびりついてるかもしれねぇだろ…?」
おとなしく洗われてろ。
そう言って身を寄せてきたウルフの立ち姿。
骨格と筋肉が絶妙にバランスをとった体と、それを押し包む濃黒の私服。数時間前まで自分を抱いていた事を思い出して、フォックスは縮こまる思いをしながら抵抗しなくなった。
抵抗が無駄だと悟ったと言う方が正しい。
いつか隙をついて脱出するタイミングを計るしかない。フォックスはそう考えながら黙りこんだ。
フォックスが黙りこんだことを了承と受け取ったウルフは、フォックスを完全に脱がし終えると、自らも服を脱ぎ始める。
あわててフォックスは口を開いた。
「!?なんでウルフまで脱ぐんだ…ッ?」
「…おまえ、服着たまま風呂にでも入るのか」
ウルフが眉をひそめて言う。
またもやフォックスは黙りこむしかない。
なぜ自分を強姦した男と一緒の風呂に入らなくてはならないのか。
殴り返される事を覚悟の上で、こっちから殴りかかってみようか。今の自分には手枷はない。
だがフォックスには気にかかっている事があった。
それは、行為中にウルフがつぶやいた言葉と、行為後にしてきたキスについてだ。

――あれはいったいどうゆう事なのだろう。まるで愛しむみたいな…。
ウルフは自分に対してそう言った感情を持っているのだろうか…。
された事は全くの正反対の事だったけど、あれはいったい…。

そうぼんやりと考えているうちに、ザーと全身にシャワーを当てられる。
考えがまとまらなくて、ウルフをじっとみるとウルフはいたってごくごく普通にしている。
また何かしてくると言う気配がないのだ。
ウルフがつぶやいた。
「切れたか?」
「え…?」
何がだろう。
「ケツは切れちまったかって聞いてんだよ」
「あ……多分平気だけど」
思わず素直に答えてしまった。
そうかと短く返事をしたウルフは軽い口調で言う。
「こっちケツむけろ。今からシャワーで中に湯を入れて洗い流すからよ」
「!?」
フォックスは大きく目を見開く。
「早くしろ」
「いやだ」
「ああ?」
「なんで俺がそんな事――」
ウルフが酷く悪い顔で笑みを作った。
「また力づくでされてぇのか」
「――…」
自分とウルフのマーシャルアーツの差はいたって簡単。自分は一瞬でねじ伏せられる事はわかっている。
フォックスは恐る恐るウルフに向かって背を向けた。
四つん這いになれと軽く小突かれる。羞恥心を押し込み、綺麗になれるのだと自分に言い聞かせてフォックスは四つん這いになった。
そうすると自然とまた腸内に残っていたウルフの精液が流れ出てくる。
「…ッ」
それを見たウルフはひどく嬉しそうに笑いながら、シャワーのヘッドをひねって外し、ホースのような状態にした。
それを湯が出ているままフォックスの尻の穴にあてがう。
「ひっ」
「そのまま飲み込め」
暖かい湯が腸内の中へ一気に流れ込んでくる。フォックスは泣き声を上げた。
「いっいたい痛いウルフッ!」
フォックスの泣き声を聞いたウルフはシャワーの先端をはずし、出してみろと声をかけた。
「…ッ…んん」
言われなくても、と涙がにじむ目で思いながら、フォックスは下腹部に力を入れた。
一気に腸内へ流れ込んだ湯が流れ出てくる。
それを繰り返しウルフはおこなってきた。そのたびに苦痛は減っていったし、徐々に自分の腸内が綺麗になっていくのをフォックスは実感した。
十数回それを繰り返したところでウルフが風呂場の洗面台にあらかじめ用意されていた塗り薬に手を伸ばす。
それをいきなり尻の中に塗りたくられる。
フォックスは抵抗の声を上げると、ウルフがなだめるように声をかけてきた。
「ただの軟膏だ」
フォックスはきょとんとする。
まさかウルフが己の身体を気遣ってくれるとは。思ってもいなかった。
そして処置が済むとウルフは風呂場から出ていってしまった。
フォックスは安堵した。本当に洗うだけで、特に酷い事はされなかったと安堵の息をついたのだ。
風呂場の外の部屋の中からウルフが声をかけてくる。
「今度こそ寝ろよ」
そしてやはりというか、部屋にロックをかけて出て行ってしまった。
なんだ、ウルフ、もう強姦みたいな事をする気は失せたのだろうか。それなら良かった、あとは逃げ出す手はずを考えるだけだ。
不当な暴行を受けないのならば、こんなにも喜ばしい事はない。
そうフォックスは考えた。考えてしまったのだった。




部屋をでたウルフは、一人つぶやいた。
「…本当に、無防備な奴だな」

なんて無防備で加虐心をあおる愛しい生き物なのだろう。
自分が、欲情される側の生き物だと自覚していない。もう何もされないと思っている。
いまだに俺の手の中から逃げられると考えている。この俺がそこまで酷い事はしないと思い、信じているのだ。

「逃がすかよ…」
無理矢理でも俺の物にしようと決めたのだ。逃げられないように縛って閉じ込めて。とことん犯しぬいて、俺無しでは生きられない体にすると。
さて、どうしてやろうか。
ウルフの低いつぶやきが、コロニーの廊下に消えいるように響いていった。
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璽聖
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ケモノを心から愛す。ケモナー。だが人間も心から愛す。ドラゴンとか爬虫類とかも好き。
つまりはどれもうめぇ←
脳内で考えていたことがそのまま絵に現れてくるので、奇奇怪怪な絵を描くことがある。
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