璽聖、普段ｐｃをするときは指マウスである。
ぐりぐり指でタッチしてカーソルを動かす。
そして本日。
父上がｐｃをしている時、璽聖にマウスはどこにあるかと聞いてきた。
普段指マウスの璽聖が知るはずがない。
扇風機に向かってあ゛あ゛あ゛あ゛～とやっていたところにそんな事を言われ、璽聖、しぶしぶとしながらも、どこにあるかもわからないマウスを探しだした。
いろんな物をひっくり返してｐｃが入っていた段ボールの中に黒光りするマウスを発見する。
父上にマウスを渡すと「やっぱマウスはいいな」といいながらｐｃをマウスでいじくっていた。
指マウスよりその黒光りするGのようなマウスがいいだと？
ばんなそかな、指マウスに慣れてしまった璽聖には思いつきもしなかった単語だ。
「つかってみ」と父上が璽聖にマウスをすすめてくる。
かつて璽聖が小学生の時に見た灰色のマウスより二、三倍は縮小化が成功されたバージョンのそのマウスに文明の利器への怖れを感じつつそっと手を乗せる。
ち、小さい…
こんなに小さいものだったろうか、マウスとは。
片手にぽっそりとおさまってしまうではないか。
しかも妙なくびれまでできていて、手のひらと指へのフィット感が計り知れない。
しかも、マウスの裏側は通称“コロコロ”ではなく、センサーにより動きを察知する式だと…！？
ばかな。
いつの間に文明はこんなにも発達したのだ。
璽聖ひとり、時代においていかれてしまったかのような錯覚におちいる。
くっ…やるな、ＮＥＣ…！
まあそんな訳で、これからしばらく指マウスだけでなく、黒ちびマウスにも慣れようと決心した。
今、璽聖の右手の横には黒ちびがいる。
使われる時を今か今かと待ちながら。

これからよろしくたのむな、黒ちび。