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ログ倉庫に使っています。ジャンルはケモノ過多かつ、同人要素強めです。お気を付けを。
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叶わない願い2





次の朝。朝と言っても、宇宙空間に朝昼夜は存在しないが。
フォックスが目を覚ますと。
両手が縛られている状態での目覚めだった。
フォックスはいきなりの事に混乱し、ベッドに横になったまま自分の手首の紐を見る。

なんだ?これ?

両手を縛る赤い紐は、ベッドの頭の上にくくられており、体を起して引っ張ってみてもうんともすんとも言わない。紐の中に鉄線が通されてるかのような。
ベッドボードにしっかりと結ばれ、両手はひとくくりにされている。
しかもこの赤紐……これは。
あの時の。
あのみだらな夜の。
あの時と同じ紐に対して記憶がありありと蘇ってしまったフォックスは、頭を抱え込んだ。

どうして普通に用心もせずに眠りについてしまったのだろう。

徹夜してでも起きているべきだったのだ。
どうにかほどけないかと躍起になるほど、きつく紐が食い込んでくる。
ウルフか。ウルフが縛り付けたのだろうか。きっとそうなのだろう。
またあんな事をされるのだろうか。
自然と冷や汗がフォックスの頬を滑り落ちた。
あんな…苦しく、辛い事を、また。
フォックスがおびえて身を丸めた瞬間、部屋のロックが解除される音が響き渡った。

来た、と頭の中で警告音が鳴る。

ドアが開き姿を現したのはやはりウルフだった。
目ぇ覚めてたかと声をかけながらベッド際まで近づいてくる。
その手に何やら薬のようなものが握られているのが目に入った。
おびえたフォックスはウルフから逃げるようにベッドの端まで体を寄せる。
それを見て笑いながらウルフはベッドの上に乗り、フォックスの足をつかみ取った。
「ひっ」
ベッドのスプリングがギシッと跳ねる音が妙に耳に響き、フォックスはつかみとられた足をがむしゃらにふって逃げようとした。
それをウルフにがっちり押さえこまれ、大きく足を割り開かれる。
「やめ、ウルフやめてくれっ」
フォックスが懇願すると同時に、ウルフは何やら奇妙な軟膏のような物を、フォックスが驚く間もなく無骨な指で幾度となく秘部に塗り込んできた。
いきなりぬるぬるとした物を尻の中に塗りたくられ、フォックスは悲鳴を上げる。
「うああ…ッイッ…!んン…ッ!」
ぬちゅぬちゅと何度も何度も丁寧に中へ沁み渡るように奇妙な粘液を塗りこまれた。
ほどよく塗り終わると、足を掴んでいた手を離し、そのままウルフは何もせずにベッドを降り、部屋を出て行く。
フォックスに向かってがんばれよ、と声をかけながら。


*************


「…っ……ぅっ…」

もうどのくらいここにこうしていたか、フォックスは覚えていない。
宇宙空間の中は昼も夜も無く、明かりもルームランプ一つがぼんやりと灯っているだけ。
もう何日も経ってしまった気もすれば、まだほんの1時間程度のような気もする。
「…フ…ッンッ…ぅぁァッ」
フォックスはベッドの上で悶えるように内股を擦り合わせた。

ウルフに無理やりこじ開かれ塗りこまれた奇妙な粘液。

幾度となく擦りこまれた粘液は、程なくして猛烈な痒みを引き起こした。
そういった薬だったのだろう。
耐えようとしても、それは無駄な抵抗にしかならなかった。
「たすけ…たすけテ…ッたすけてくれよォ…ッ…ぁ、ひぅ…くぅゥ…!」
まるで泡立つみたいにじゅくじゅくとした痒みがひしっきりなしに襲ってくる。
掻き毟ろうにも手を頭上で縛り上げられている。
指を突っ込んで擦りあげてしまいたいほどの痒み。しかしそれが叶わない事で、余計に痒みを知覚してしまう。
壁や物に擦りつけてしのごうにも、うまく届かずに、フォックスの身体はむなしくベッドの上で跳ねるだけだった。
フォックスに出来る事は、内股を擦り合わせ、ベッドのシーツに体を擦りつけながら悲鳴にも近い嬌声をあげて耐える事しかなかった。

脂汗を滴らせ、奥歯をかみしめ、ひたすらに掻痒に耐える体は、だから不意に現れた人影に気づく事が出来なかった。
人影がそっと腫れものを触るかのように自分の身体に触れてくる。
(…ぇ…?)
「大丈夫か」
低い声だった。
いつもの声の低さ。ウルフがいつの間にかそばまでやって来ていたのだ。
ウルフの手が、ゆっくりと太股から腹までをなぞるように撫でていく。
「…ぁ…ぁ……」
大量の汗でしっとりと湿ったおでこを大きな手が丁寧に撫でてくれる。
目線をあげるが、ぼんやりとした明かりの中、相手の表情を読み取ることが出来ない。
よく効いてる、とつぶやき、ウルフの手がゆっくりとフォックスの身体を撫で始める。フォックスの体が今どういった状態にあるのか確認するかのような動きで。
その動きは至極緩慢で、フォックスの最も求める場所は全く撫でてはくれない。
(…かゆ、ぃ…ッ)
どうゆうわけかウルフが自分の体を撫でるごとに恥ずべき場所を猛烈に襲い始める掻痒感に、フォックスはベッドの上でもがいた。
「…ァァッ…ヒ、…ァ―…ッ」
(なんだ…こ、れ……ッ…)
まるで全身が性感帯にでもなってしまったかのように、一撫でされるごとに全身の毛並みが総毛立った。
もう我慢などできる状態ではない。ただただ焼け爛れたように熱い粘膜が。
ウルフの目の前だと言うのに、ベッドに己の股間を押しつけるように擦りつけ、秘部の痒みを分散させようと自身を慰める。
それを見たウルフはのどの奥でかすかに笑いながら、フォックスの秘部へそっと手を伸ばした。
「ァ…ッ」
つぷりとウルフの長く節がついた指が秘部に入り込んでくる。
くちゅり、と第一関節がそこに埋まると、痒みが一瞬引いたかのような安堵感があった。
だがそれはたった一瞬の事で、再び倍増する痒みから逃れるために、根元まで指が欲しいと自然と腰が動いてしまう。
「…ッぁァ、っ…」
ゆっくりとウルフの長い指が2本。すでに奇妙な液体でぐちょぐちょになった場所へ入り込んでくる。
手が縛られ抵抗のすべがないフォックスは脂汗とよだれと涙を流しながらウルフへ懇願した。
「ァ、ぁっ、ソコ…っかゆィ…ッァ…たすけ…ッ」
最早内臓まで浸食してきた淫らな痒みに、虚しく腰を揺すった。下等動物のようで恥ずかしい、などと思う余裕は無かった。
「いやらしい奴だな」
感心したようにウルフがそう言う。
どこを掻いてほしいんだ?と聞き、ウルフの指が火照って熱くなったフォックスの体内を蠢いた。
他人の背中の痒いところを探してやるように、フォックスの顔を見ながら指をゆるゆると内部で浅く深く確かめる。
「…っぅんん、…ぁ、……ンンっ…」
「ここはまたずいぶんと熱いな」
ぷくりと爛れたように熱く膨れていた前立腺を、確認するようにウルフの指の腹が擦りたてる。
フォックスは反射的に身をすくめた。
「ヒ…ィッ」
「ああここか?痒いんだったな。掻いてやる」
突然内側を強く擦り、くの字に曲げた指を激しくそこで出入りさせた。
「ぁッ…ァッヒぅ…ッンッンンッン――…ッ」
ぴっ、と細かく震えた腹筋に白い飛沫が散る。
強い衝撃はそのまま全ての欲望を解放するにはたらなくて、フォックスは耳の先までぶるぶると震えを見せた。
――なんてことだ。これは。
認めたくない。認めたくないが。…気持ちいい…。
痒くて仕方ない内側をウルフの指が蠢くたびにジンッ…と足の先までしびれて耳の先までざわざわする。
こりこりと内側のふくらみを指の腹で擦られるたびにフォックスは乳白色の飛沫を自分の腹へこぼした。
「…奥まで擦ってやる」
「…っァっ……っ?」
今までフォックスの様子を見ていたウルフが静かにそう言ったかと思うと、ずる、と指を抜く。
そうして一気に痒さが戻ってきた内側。
「…っんンッ…ぅゥ…ッ!」
襲い来る痒みに身をよじった瞬間、ぐちっとぬかるみに押しつけられた、熱い塊。
フォックスはひくっと息をのみ込んだ。
「…ッ…」
そのままゆっくりと己の中に侵入してきた硬さと太さに、声にならない悲鳴をあげる。
「――…~~ゥァァア……ッ」
足を折り曲げられ、のしかかられ、圧死してしまいそうな存在感に犯される。
熱く硬くなったそれが、ぷくりと腫れあがったいやらしい場所を硬いカリでこそげていき、フォックスの下腹部には乳白色の飛沫がさらに飛び散った。
「ヒ、ぁ、ァッ…ふぅっ…っふ…ッ」
「…熱くて…よくとけてるな…」
感心したように嘆息し、男がフォックスの中におさまった事を確認するかのようにゆっくりと腰を回す。
そのたびに痒かった内側を強く擦られ、フォックスからは獣じみた鳴き声があがった。
「あぐ…ひぅゥ…きゃううぅッ」
もっと擦って欲しいとでもいうかのように収縮する内壁を、男の肉棒が丁寧に掘りさげる。
ぬちぬちという音がするたびに、狂うような痒みは収まり、フォックスは悲しみからか、悦びからなのか、涙を流し始めた。
「ッヒっ…ぃ…ィッ…ぁぅッうぁァ…」
「……ッ…なぁ、知ってるか」
ウルフがフォックスの頬を流れる涙をそっと指ですくいながらつぶやいた。
「俺、テメェの事、好きなんだぜ」

「…っァ…っ?」

今何と言ったのか。
フォックスは自分の耳を疑った。
ウルフが、俺の事を、好き?
涙越しに見たウルフの表情は、よくわからない。
「…知るわきゃねぇよな…」
そうつぶやいたかと思うと、ウルフはフォックスの細腰を掴み、強く揺さぶり始めた。
「アァアッ!アッ、は、っあっ、ぁ、ンッ…~~!」
浅く早く何度もフォックスの弱いところを強く突いてくる。
痒くてしかたのなかった己の内側を、ウルフが擦りあげるたび、奇妙な快感が生まれた。
「ウルッ、オレ、出る、もうでる…!~~ッ!」
ぐりぐりと中の膨らみをペニスの先で押しつぶされた時、フォックスは泣きながら叫んだ。
ウルフに押し上げられるようにしてフォックスは欲望を吐露する。
「…っは、あ、あ…ァァ――…」
勢いはあまりなく、流れ出るようにフォックスは射精した。とろとろとした精液がフォックスの腹筋の上を流れおちていく。

もう訳がわからない。

痒いのか、痛いのか、気持ちいいのか。
「ッ…こぼすなよ…ッ」
そういいウルフもフォックスの中へ己の欲望をドプンと注ぎこんだ。

ああ…また…中に出された…

ぼんやりとそれを知覚し、フォックスは涙をこぼした。
それから何度も。フォックスの痒みが収まり、内側がウルフの性器の形に変形してしまうほどにフォックスは犯されたのだった。



************



それから、ウルフは毎晩のようにフォックスを求めて部屋までやって来た。
食事をすませ、ひと眠りしたところで起こされ、シャワーで腸内を洗浄し、媚薬を塗りこまれる。
そうしてフォックスが痒みに耐えられなくなると、非常に嬉しそうな笑みを浮かべて覆いかぶさってくるのだ。
何度も抵抗してみた。逃げようとも試みた。
しかしそのたび力づくで捕まえられ、手酷く媚薬を使われた調教じみた性行為が行われた。

フォックスはもう時間や日にちと言う概念が無くなってしまった自分に気が付いていた。

窓から見える景色は宇宙空間のみ。
時折ウルフやレオンがウルフェンに乗って基地を飛び立っていくのが見えるだけ。
それを眺め、自分も空を飛びたいと願いながら、それも叶わない事に途方に暮れていた。

まるで忘れ去られたかのように、どうして誰も助けにきてくれないのだろう。






ぼんやりと窓の外に見える星を眺めていると。
ドアの開く音がしてウルフが食事を持ってきた。
銀のトレーに飲み物にエビとトマトクリームがたくさんのったパスタ、それに切られたりんごがのっている。
「……」
黙ってそれを眺めながらぼんやりとフォックスは思った。
――どうしてウルフはこんな事をするのだろう。

ウルフは。
自分を抱き終わると、必ず「好きだぜ」やら「お前は俺の物だろ、なあ」やらの言葉をささやいてくる。
最初、それは行為に対するただの社交辞令なのかと思っていた。
だが、そのウルフの表情。声色。
それが嘘の言葉ではない事をフォックスに知らせた。
好いてくれているのなら、こんな風にして欲しくなかった。
正義感の塊なフォックスにとっては、この行為は信じられない、信じたくないの一点でしかない。

「朝食だ」
ウルフがトレーをルームランプが乗っている机の上にのせる。
カタンと音がして、フォックスはぼんやりとうまく回らなくなってきた頭と口でウルフに聞いた。
「…ウルフ」
「ん…?」
「ウルフ、俺も、空飛びたい」
「……」
ウルフの目が一瞬細くなるのが見えた。怒られるだろうか。逃がさないと言われるのだろうか。でも、もう限界だった。
「飛びたいんだ」
ウルフの赤い目をしっかりと見ながら言った。
ウルフの返答は至極簡単なものだった。
「いいぜ」
え、とフォックスは間抜けな声を出してしまった。まさか許されるとは思ってもいなかったのだ。
「ちょっと待ってろ」
そう言っていったん部屋を出ていく。
数分して、ウルフはフォックスのスーツをきちんと一式そろえて持ってきた。ちゃんとしまっておいたのだろう。捨てずにいてくれたのだ。
フォックスは目を輝かせた。まるでスーツが輝いて見える。
おそるおそるウルフの手からスーツを受け取り、急いで今着ているシャツを脱いでスーツの中へ身を通す。
もはや懐かしいとまで感じる着心地だった。スーツの感触が柔らかい。洗濯がほどこされているのかいいにおいがした。
「来い」
ウルフが短く言うと部屋のドアを開け廊下を歩いていく。
「……!」

まるで夢みたいだ。
外に出られるんだ。空を飛べるんだ。逃がしてくれる気持ちに、ウルフはなったのだろうか。

よろけるようにフォックスはウルフの後ろ姿を追いかけた。





ウルフが向かった先で待っていたのは、模擬戦闘室だった。
360度空の画面が映るビジョン機器と、その中心に据えられたウルフェンを模した戦闘機。
それに乗りこむと、周りのビジョン機器壁に映像が映るなか、重力装置によりその位置からは動けないが、まるで本物の戦闘機に乗ったかのような訓練が出来る。
バーチャル訓練機器だ。
コーネリア軍でもこれを取り入れた戦闘シュミレーションをおこなっているときく。
きっとウルフの基地の若いならず者達もこれを使用して訓練しているのだろう。
「どこがいい。テメェの望むところでやってやるよ」
ウルフがそう言う。
言いながらウルフが入口にロックをかけた。そしてロックの横にあった小さな機器に何かを入力する。すると薄暗かった部屋が一気に明るくなった。
パパパパッとビジョンの壁にコーネリアの空が映りだす。
「ここか?」
言いながらまた何かを入力した。
「それともこっちがいいか」
壁には今度はアステロイド空間が映りだした。
ビジョンに映し出される光に照らされるウルフの横顔を見つめながら、フォックスは自分の胸をぎゅうっと掴んだ。

そんな簡単に、逃がしてくれるわけ…ないよな…。

喜んだ分、落胆も大きかった。
フォックスが落胆の色を隠せないのを見たウルフは、再度コーネリアの空を映しだしたところで手を止めた。
「……」
そしてズカズカとこちらへ近づいてくる。
「………ウルッ…!?」
ガッと腰を掴まれ、無理やりウルフェンを模した戦闘機に放り込まれた。
「しょぼくれてねぇで、いいから乗ってみろっ。俺が今からテメェと模擬戦闘してやるって言ってんだ」
「……?」
模擬戦闘?
…何だ…それ…?
しぶしぶフォックスがウルフェンのシートに座り、ベルトを装着したところで、ウルフは黒い鼻をふんっと鳴らし、隣の部屋へと歩いて出て行ってしまった。
「………………ウルフ…?」
ウルフの沈黙が耐えられなくなったフォックスが探るように声をあげると、突然通信画面にウルフからの通信が入る。
「よう、見えてるな。そいつは俺様のウルフェンとほぼ同型の操作方法になってる。テメェのアーウィンと似たようなもんだ。操作法はわかるな」
「ぁ、ああ」
確かに言われてみるとアーウィンに似ている。フォックスは恐る恐るウルフェンのボタンを押した。
リフトロックを解除する。それと同時に重力装置が働き、ふわりとウルフェンは空中に浮き、停止した。
プラズマエンジンを噴かせ、操縦桿を握る。Gディフューザーシステム制御レバーを力強く倒した。
それを皮切りにグンとビジョンが動き、まるで本当に空を飛んでいるかのような映像が眼下に広がった。
「う、わぁ」
――すごい。
バヒュウゥゥンという小気味よい音を立ててウルフェンは空へ舞い上がった。――ように感じられた。
ウルフからの通信がまた入る。
「そいつは本物の戦闘機とは違うからな。前には進まねぇが、ビジョンが動いてんだろ」
偽物の音に振動、眼下に広がる景色。全て偽りだとわかっていたが、それでもフォックスは嬉しかった。
雲が後ろへ流れていく。操縦桿から伝わる振動は、まるで本物のようだ。
ローリングをすると、ウルフェンは宙に浮いたままローリングをして見せた。
それがただただ嬉しくて、フォックスは腕慣らしにぐるぐると宙返りをして見せた。
そこでウルフからの通信が入る。
「調子よさそうじゃねぇか。おら、1ラウンド勝負だ」
え、と思い後ろを見ると、ビジョンの中にウルフが乗るウルフェンが小さく見えた。こちらへ急接近してくる。
「テメェのいる部屋の隣にも同じバーチャル訓練機がある。もう片方に乗りゃあ、テメェが乗ってる機体と模擬戦闘もできんだよ」
ウルフが楽しそうに声を出した。
「本物とまではいかねぇが、なかなかの再現度だろ。――いくぜ」

ただただ嬉しかった。
閉じ込められていた日々がウソのようだ。
偽りの空、偽りの機体。全てが偽りだとわかっていても、ウルフと戦える事はフォックスにとっても快感だった。
そしてウルフ自身、フォックスと同じように飛び、模擬戦闘を繰り広げながらじんわりと胸の中が熱くなっていた。

――そう、これだ。
――これを俺は欲したのだ。
この空を飛んでる姿。
はじめてこの空を駆ける狐を見た時、胸の中にどすんと重いものが落ち込んできた。
それは非常に重く、男の事をいらつかせるのに十分の重さだった。
正義感の塊で、自分の雇主と敵対する男。
鋭い腕を持った好敵手。
――宿命のライバルと定めた。

落としてみたい。

――堕として。

それが叶い、残骸のようになった機体の中で生きている狐を見た時、体の底から震えるほど自分が狂喜している事を知った。
自分がどれほどこの瞬間を待ち望んでいたのかを知ったのだ。

こいつを、手に入れよう――。





「楽しかったよ…ありがとな、ウルフ」
落としたり落とされたりの模擬戦闘が終了して、機体からはあはあと息が上がった状態のフォックスが降りながら笑顔を作り口を開いてきた。
ウルフは一瞬ポカンとした。

こいつは、こんな状況であっても、礼を言わずにはいられない生き物なのだ。偽りの空であっても、どれだけ嬉しかったのだろう。

先に降りて来ていたウルフは小さく鼻を鳴らし、フォックスの顔をじっと見た。
幼さを残し、高揚したような表情。フォックスの汗の匂いがする。
ふと、その匂いにウルフは先ほどまでの興奮とは違う性的な興奮を覚えた。
グッとそれを飲み込み、フォックスに風呂に入れと声をかける。
――風呂。
それは。
困惑したようにフォックスはウルフの顔を見る。
ウルフは鋭い目をさらに細くして言った。
「自分で全身洗って来い…中、までな」
やはり。
ウルフが風呂に入れと言った時は、決まって性行為が行われる。
その事をわかるようになるまでフォックスは犯しつくされてしまっていた。
ウルフの目を見ればわかる。
たった今おこなった模擬戦闘で、ウルフは興奮しているのだ。その興奮をフォックスの中で静めようとしている。
ああ、と諦めたように言ってフォックスは歩き出す。
フォックスは、廊下を歩きながら逃げようともしない。
もう逃げる事を諦めてしまったようにも見えた。






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         ↑主に璽聖が出現している絵描き場  テラフリーダム
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璽聖
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非公開
自己紹介:
ケモノを心から愛す。ケモナー。だが人間も心から愛す。ドラゴンとか爬虫類とかも好き。
つまりはどれもうめぇ←
脳内で考えていたことがそのまま絵に現れてくるので、奇奇怪怪な絵を描くことがある。
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